持而盈之。不如其已。揣而鋭之。不可長保。金玉満堂。莫之能守。富貴而驕。自遺其咎。功遂身退。天之道。(老子 上編 第九章)

持してこれを充たすは、其の已むるに如かず。(何かを満たそう、満たそうとするのは、それを已めることには及ばない。)

鍛えてこれを鋭くするは、長く保つべからず。(刃先を鍛えて鋭くしても、長く保てるわけではない。)

金玉堂に満つるは、これをよく守るなし。(黄金や宝玉が家に満ちているのは、とても守りきれるものではない。)

富貴にして驕るは、自ら其の咎を遺す。(財産や地位をもって驕り高ぶるのは、自らの破滅を招いてしまう。)

功遂げて身の退くは、天の道なり。(仕事をやり遂げて、成功したら、身を引くのが天の道にあっている。)

年末に「老子」を読みました(「老子」金谷治著講談社学術文庫)。「老子」(ウィキペディア)は、「論語」と並ぶ中国の代表的古典です。その著者である老子孔子同様、平和で安らかな人間の幸福を追求した点では、同じです。

しかし、そのアプローチは、無為自然という言葉で表されるように、人為的なものを極端に排除し、自然に(道)に従うものとしています。この点が、孔子の高い道義的な理想を人々に向かわせるのと対になっているのです。

どちらが良いというものではないでしょう。どちらも人間の本質をつく、すぐれた思想であるからです。ただ、今の僕には、老子のほうがより近く感じる今日この頃です。なかでも、自分の戒めとして、特に心に響いた一遍を記しました。

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