台風13号が近づいてお天気が連休中は優れませんね。これでは外出もあまり楽しくないです。この中途半端な時間を利用して、久しぶりに長編映画、「ミュンヘン」を鑑賞しました。

1972年のミュンヘン・オリンピック・テロ事件(ウィキペディア)を題材にしています。パレスチナ人ゲリラが11人のイスラエル選手を人質にとるテロ事件を起こします。そしてその結末は、イスラエル選手の全員死亡です。

スピルバーグ監督は、その後、イスラエルモサド公式サイト)による報復作戦にフォーカスを当てます。暗殺グループとして組織された5人の工作員が、事件に関与したとされるパレスチナ人をヨーロッパ各国で次々と暗殺していくのです。

しかし、ユダヤ人であるスピルバーグの視点は、あくまでも中立的な立場を貫きます。イスラエルパレスチナのどちらかに肩入れすることもなく、実際のニュース映像も挿入しながら、テロや戦闘シーンなどは徹底したリアリズムで描きます。これは、プライベート・ライアンと同様な手法です。

中盤からは、逆に命を狙われる工作員たちの心理ドラマが中心となります。すなわち、工作員たちが次々に殺され、その報復の虚しさが伝わる展開になっているのです。工作員のリーダーが、その葛藤を全身全霊で体現しています。

そうした普通の人々が苦しみ、憎しみを持つところに、決して終わることのない殺し合いの連鎖が示唆されています。それは、後半部で、オリンピックテロの銃撃されるテロリストがいつのまにやら主人公たちの姿に変わっているのに象徴されています。そして最後にワールド・ドレードセンタービルがしずかに映し出されるのです。

結局、スピルバーグ監督が描きたかったのは、「家族愛」とそれが故に生まれる「憎しみの連鎖」なのではないのでしょうか?テロを起こす人物も、それを殺す人物もみな親であり、子供である良心的な普通の人々なのです。決して残虐非道なテロリストが描かれているわけではありません。

ハリウッドきってのドル箱監督が、決して賞やヒットを獲りにいってないところに、この映画の持つメッセージを強く感じるのです。

ヤフー・ムービーの「ミュンヘン」解説サイト

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